わずかなるタイムラグ持ち生きてきて守りたき人のあるという定立
 
  朝靄にアコルディオンのBGM仮想現実たたせていだく
 
  ふたりしか知らないことのそこが価値 偶発的に思い結んだ
 
  ひそやかにヘリオトロープの紫の存在意義に呼吸つづける
 
  まどろみの浅き夢みし酔いもせずあだごとふたつ捨てもしないで
 
  くちびるに残る感触 秒針がフェードアウトを助長するんだ
 
  ブレーキはわたしが掛けるわけじゃない 助手席のひと、真っ赤な視線

  欠片さえ奪う強さも持ち切れずアジタスィオンに押しつぶされて
 
  きれぎれに思惟はとびゆき夢失せるピアニッシモでつぶやかないで
 
  聞こえない聞きたくないと言えなくて笑った顔のそばかすの数
 
  肉体の外に置かれた情だけ・・・約束なんてできないんだよ
 
  僕はもう疲れちゃったみたいなんだ色のない花を見続けたから
 
  手のひらに転がされてるだけだって落下速度も見透かされてる

  ひたすらに恋うるかなしみ青葉風何も言いたくない月曜日
 
  てのひらのペパーミントの香りだけ引き出す儀式パンと叩いた
 
  見なければ感じなければ・・・独白 心の居場所は回送された
 
  つばなの穂ほぐれて雨は降り続く鈍行列車に乗り換えてみた
 
  間違えたふりして落としたコップには戻らない水 耳を塞いだ
 
  この水を逆さまにした足元の水たまりだけは「きっと飛べない」

  独り居のセロリの苦味はここちよく こころをなぞる雨音もして
 
  弔いし心ささくれ血が滲む 指の先まで響く雨音
 
  ただひたに強くありたい明日にも無用なやさしさつれた風吹く
 
  不意打ちに空似の人に逢ったから針の外れてゆがんだ時計
 
  消えてゆくだけの時間が浮遊する要らなくなった言葉をつつみ

  すぐ横を過ぎ去るはずが急停車  しゃべり続けた海はそのまま
 
  振り向けばわたしの海がそこにある預けた心に逢うための海
 
  走っても追いつけなくて寝ころんだ何もなかったように青空
 
  近景も遠景にさえももういない同じ速度ですれ違う夏
 
  道の辺にわたらうものの影を追う わたし不幸になりたがってた
 
  縛られたいわゆるひとつのイマージュを振り解くためにある時間薬
2003.6.30
仮想現実
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