2017年

8月
 全身不満足

その刹那からだが宙に浮かびしや飲み込むことの出来ぬ景色に

倒れたるからだの向きを変えられず 痛みが引きていくしばらくを

わがうちを写す白黒画像には丈夫な骨が「元気」を示す

数多なる打ち身は青に紫にまだらまだらに過失を語る

全身の傷みに時を暮らしゆく 不満足なるからだがわらう

痛いとう言葉を言えぬ「頑固さ」を「我慢強さ」というやさし人

切れ長の目に笑むきみの前向きさ一秒ごとに傷を癒しぬ

趣味のあう会話重ねてリハビリを支えくれたるふた手は柔し

月が咲き陽は枯れゆくとSEKA OWAに聴き入る頬に赤みが差し来

全身の不満足さを補いてこころは満ちるよき音楽に



7月A
 philosophy
 


自分を守るのは自分でしかない 雨はまっすぐ降るわけじゃない

先生と屈託なきまま呼ぶ声を背に断ち切りぬ 今こそ別れめ

いっときの 愛 i 哀 の選択の是非語るのは過ぎてまたのち

抱えしは自己矛盾なり 生きるとはこんなものだと片頬で笑む

本心を語れば易しと友は言う いいえ自由は心に置きぬ

わたくしのことはわたしが決めるだけ やさしいふりの人は見下ろす

泣きながら食べられるなら大丈夫 そう 生きるとは 我慢の連続

常識の壁はガラガラくずれゆく非ざることが必然となる

外界の刺激のままにうた詠めば智を愛す心消えてゆくやも

いくにちも振り子を胸に揺らしつつ歩めばそこは哲学の道


 
7月@
 うたの広場

紫陽花のスロークイック風に揺るダンスパーティーゆたかな色に

紫陽花の濃きに淡きに色を変え風のリズムに梅雨空の下

弱音など吐かぬと決めしも梅雨曇りせめて真っ赤な傘を購う

人生が白でも黒でもグレーでもわたしがここに在るとう真実

向き合いて気づく白髪が過ぎ行きとまるごと君を抱きしめており

発想を自由自在に泳がせて飛び立ちましょううたの広場に




6月
 自在

初夏ゆえに観覧車ゆえに 少しだけ鈍いあなたを風がつついた

真っ白な堅香子に会える川辺へとジープ走らす二十歳の朝へ

音量をあげてブルーノマーズ聴く助手席は風タブノキの風

ガタゴトと水郡線に運ばれて菜の花色の風を追い越す

花を愛で想いを語りてゆく季節おりおりに友の心根知りて

鳥を愛で花に染まりて風の道おおき歩幅にゆく背なつかし

きょうもまた花たちがわらう丘に立つあなたを想う景色を思う

のびやかな声に笑いしかの夏も百日紅もファイルに収む

想い出のファイルに引導渡すごと罪状消滅閻魔大王


 
5月
リズミカル

ぽぽぽぽとうたいつつゆく冠毛を追いて手のひら児らひらひらと

追い追われ冠毛はゆく幼らにタンポプターと呼ばれながらに

どこまでと約することも無きままに飛べば楽しも蒲公英の絮

別れなる幼のため息ひびく夕みなもを染めて往く花筏

忘却のうちに散りゆく小さき花 生きて別るるほどにせつなし

ツンツンとヒトツバタゴの花白し 忘れられたるこの身見下ろす

またの名はナンジャモンジャと聴きたればクスリと笑えるわたしもワタシ

今さらにデリカシーなど求めたることが間違い 笑うクスノキ



4月
賽は振らない

しだれ咲く三春大樹の滝桜千年の時を見つめて生きて

ぱたぱたと小さな歩幅に動きたるわたしを笑う神峰の春が

かみねとう名に在る山のさくら花変わらざること誇りて咲きぬ

咲いてますあなたと季を過ごすためノースポールの声音が誘う

誘われてノースポールの香に寄るも顔をしかめて距離はかりおり

またねとは約束せぬまま行きましょう神は決して賽は振らない


 
3月B



見上げれば空までつづく雛飾り百段階段ゆっくりとゆく

一二三声に数えてのぼりゆくきざはしの雛のかんばせ柔き

白無垢の花嫁行列ゆく町の空澄みわたる蝶よ花よと

あふれたるなみだをぬぐうすべもたず3.11ゆるるは心

いくたびの年を経るとも流されし記憶は深く海まだ遠く

遠き眼に海を見つむるさえ怖し視線をゆっくり手許にかえす


 
3月A

気まぐれ
 


かたわらに添うを許さるる名はひとつ 窓辺に雨を語りしは過ぐ

伝え来し言葉のあまた少しずつ色を変えゆく あるいは 散りゆく

向き合って気づく白髪が過ぎゆきか まるごと君を抱きしめてやる

人生は白でも黒でもグレーでもあなたがそこに在るとう真実

早口にののしる言葉カプリッチオ取り残された疑心をはらう

一本の白髪に気づく刹那には会えず流れしときを想いぬ

あの日には気づけざりしが簡単に気づける今日に「会えてよかった」


3月@

あんぽんたん
  


泣き虫も弱虫も強く豆にぎり福を呼び込む そうだその意気

幼き日がまんは美徳と言われしも本音を吐かば明日は笑える

一切の温み持たせぬセンテンス一読ののち勢いクリック

だまされた然スレバわたしは報われる泣くなら闇がオトズレテカラ

消え去りし者らのかげを歌に詠むあほうあほうと烏が笑う

想い出に浸り続けるあんぽんたん可愛い言葉に自分をだます


2月

虚構
 


かたわらに添うをゆるさるる名はひとつ 窓辺に雨を語る日は逝く

雨の日に窓に映りしふたつ影 虚構の色は褪せてにいどし

向かい風受けたるような年明けのうつつに寄せる波に押されぬ

伝えたる言葉のあまた少しずつ色を変えゆくあるいは散りゆく

逢うことも叶わぬ日々に約束は歳を重ねるままに消えゆく

永遠などは無いのかもしれぬ再現不能の記憶痕跡

やり取りを重ねるごとに切なさを連れた時間がまた押し寄せる

大切の行き違いたる現実に壁を立てたき思いは止まず

思い遣る心も薄れゆくのやらかつてホントのやさしさ説きしに

知らぬふり見ぬふりのできる人なると気づきしは
去年(こぞ)引き返せぬに

「放置」なる鋭利な残酷突きつけてハンズアップのまま置き去られ

「変わらぬ」と放つ虚構のひとことは境界線を見せない魔法



1月

バランス



とにかくに追われし日々にすきま風吹かせて立ちぬレトロな町に

手をひろげ深き息して見上ぐればバランスのよき空に出会いぬ

イベントの名は十二月倉というちんどん屋さんの鉦鳴り渡る

鉦太鼓クラリネットにちんどんとレトロな着物に町並は湧く

大切なものら消えゆく十二月つくばいに映る白日に泣く

ことの葉はときに棘持つ柊にあすはまあるい葉っぱになろう

 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
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